坂東33観音・秩父34観音参拝を終えて
もともと還暦を迎えた年に四国88霊場めぐり、お遍路さんをしてみたいと思っていました。
当然のことながら、このことに多くの時間を費やす余裕はまだ持っていません。
ところが、今年は午年に当たり、12年に一度の総開帳の年なのです。
普段閉じている観音様の扉が開き、直に観音様とお逢いできるチャンスの年なのです。
四国はダメでも、「そうだ坂東に行こう。」
そう思い立って坂東33観音・秩父34観音の巡礼めぐりを始めたのです。
一番目の鎌倉杉本寺からはじまり、神奈川県9ヶ寺、東京都1ヶ寺、埼玉県4ヶ寺、
茨城県6ヶ寺、栃木県4ヶ寺、群馬県2ヶ寺、千葉県7ヶ寺。
途中、秩父34観音を含めて、10月4日最後の館山の那古寺で67観音を結縁しました。
結縁とは観音様のお姿を拝見しながら直にお参りすることです。
千数百キロにも及ぶ旅でした。
最初はお参りすることが恥ずかしく、観音様の前でお願いやお祈りをすることが
まるでいけないことのような罪悪感を持ちました。
混沌として何を祈ったらいいのか?何を願ったらいいのか?
そんなことも定かではない巡礼から始まりました。
しかし、そんな気持ちもいろいろな観音様の前では自然に消滅していきました。
何を願い、何を求め、何を祈る。
将に自分の心との照見の時間でもありました。
仏を拝み自分を映す、我が事を追求し、何が自分の役割なのかを求める旅にもなりました。
仏道をならふというふは、自己をならふなり。
自己をならふといふは、自己をわするるなり。
人は必ず死にます。
有限の時を生き、その一瞬一瞬をどう生きるかが自分に委ねられた選択により決まります。
それがその人の人生になるのでしょう。
それならば与えられた時間を精一杯生き切る。
そんな想いをなお一層強く持つことができました。